二つの未来 2020 1 1
「May I dream ?」
結局、いつまで待っても、
「2001年宇宙の旅」も「2010年宇宙の旅」も実現しなかった。
アーサー・C・クラークによる予言のような小説は実現しなかった。
私は、2001年という未来には、
宇宙旅行が実現しているかもしれないと夢をふくらませました。
しかし、2000年が近づいてくると、
さすがに2010年になれば宇宙旅行が実現するのだろうと思うようになりました。
いや、実現したものがあります。
映画では、人工知能の「HAL9000」というコンピューターが登場しますが、
現在、人工知能の発達は急速であり、
さらに、映画になかった「量子コンピューター」も実現に近づいています。
もしかしたら、「量子・人工知能コンピューター」が、
われわれ人類に対して、「May I dream ?」と問うかもしれません。
いや、もしかすると、「我思う、ゆえに我あり」と自問自答するかもしれません。
「Windows 95」が登場して以来、
コンピューターは、驚異的な進歩を遂げました。
さらに、多くの人が情熱を注ぎました。
投資家は、巨額の資金をつぎ込んだでしょう。
一方、宇宙開発は、遅々として進みません。
コンピューターの進化速度が新幹線ならば、
宇宙開発は馬車のような速度でしょうか。
コンピューターで頑張れば、
仕事で成功が見えている、出世が早い、儲かる。
そういう未来が明確に見えるからこそ、
世界中の多くの人がコンピューターに情熱を注いだのでしょう。
「Windows 95」が登場する前は、
コンピューターは、専門家のものだった。
しかし、「Windows 95」以降は、コンピューターは、みんなのものとなったのです。
一方、宇宙開発は、相変わらず専門家のものです。
これでは、世界から知恵も集まらないうえに、
世界から資金も集まらないでしょう。
「予言は外れたか」
アーサー・C・クラークは、こう言うかもしれません。
未来は、時には分岐して、時には重なり合う。
別の未来のほうを見てしまったか。